自分の給与ってSESの年収・給与の相場比較で安すぎるのか知りたい
どうすれば年収アップ出来るか知りたい
と言った疑問に答えます。同じ医療関係でもお医者さん、看護師、薬剤師で給与が違うように、ITエンジニアにも役割・ビジネスモデルにより給与・年収はある程度決まってしまいます。こういった点もふまえ、SESのビジネス構造と相場観を分かり易く解説します。
この記事を読むことで
・SESの年収相場感と業界構造
・年収アップするための3つの選択肢
を理解できます。
SESを取り巻くIT業界の求人の動向
SESの年収・給与に関して解説する前に、そもそもIT業種全体の求人はどうなのか?から解説します。全体感をふまえすぐにSESの話に移ります。
SESに関連のあるIT全体の求人関連のポイントは以下3点です。
IT業界全体ではSESを含みの求人倍率は好調
IT業界全体で(SESも)強い求人の推移
IT業界全般に今後の需要も堅調、2030年には79万に不足
IT業界全体ではSESを含みの求人倍率は好調
2021年2月に公表されたDODA社の調査結果によると、ITの求人倍率は、5.4倍と一般の求人倍率の1.83倍を大きくしのぎます。ITの需要が堅調な事を理解できます。ですので、SESを含むIT業界全般に求人需要は好調です。
IT業界全体で(SESも)強い求人の推移
IT業界の求人倍率を推移でみると、IT求人倍率=需要が増加しているトレンドも理解できます。上記の緑色の線がITの求人倍率を表しています。他業界の求人倍率が横ばいの中、IT業界のみ堅調に推移しています。
SESを取り巻く概況は素晴らしく好調です。
IT業界全般に今後の需要も堅調、2030年には79万に不足
さらに、未来に目を向けると。2030年には最大79万人もの人材の不足が予想されています。ビジネスにもはや欠かす事ができないITを職種と選ぶのは先見の明があると言えます。
SESの年収・給与・単価の事情とは?
SESを取り巻くIT需要の堅調さはご理解いただけたところで、SESの年収・給与・単価といったお金に関して解説していきます。
2つの観点で解説します。
SESの年収・給与のITエンジニア系(SE・社内SE・SES)との比較
SESの単価のITエンジニア系(SE・社内SE・SES)との比較
SESの年収・給与はITエンジニア系(SE・社内SE・SES)系で最低
業種 | 平均年収 |
---|---|
一般 | 419万円 |
社内SE | 510万円 |
システムエンジニア | 550万円 |
SES | 350~400万 |
SESの年収は400万と他ITエンジニアの平均年収と比較すると低い傾向にあります。
この水準は、経済産業省か公開している「スキル標準レベル別の年収」のレベル1を下回る水準です(レベル1=新人・初級レベル/仕事に慣れ始めたレベル)。つまり、SESが全体を押し下げているとも言い換える事が出来ます。
SESの単価は60万~120万とこちらも最安
様々なSESさんとお仕事をいたしましたが、SESさんの相場は60万~120万といった感覚です。
他サイトも同じ感覚でした。例:比較BIZ
レベル | 人月単価 |
---|---|
PG 下請け・フリーランス | 40万~80万円 |
PG 大手企業 | 60万~100万円 |
SE 初級 | 80万~100万円 |
SE 中級 | 100万~120万円 |
SE 上級 | 120万~200万円 |
平均 | 80万~120万円 |
SESの年収・給与・単価まとめ
業種 | 平均年収 | 単価感 |
---|---|---|
一般 | 419万円 | N/A |
社内SE | 510万円 | N/A |
システムエンジニア | 550万円 | 120万~350万 |
SES | 350~400万 | 60万~120万 |
SESの年収・給与=400万
単価=60万~120万
といずれもITエンジニア中最安と言う結果でした。
SESの年収・給与が他ITエンジニア職比較で低い構造
SESの年収・単価はなぜ低いの?
ここまでSESの年収・単価が低いのには何か職種的な問題があるんじゃないの?
と言った疑問に答えます。SESの年収が低い理由は、SES=システムエンジニアリングサービスのビジネスモデルが深く関係しています。
以下の観点で分かり易く解説していきます。
SESに求められる仕事の役割
IT業界の下請け構造
SES(システムエンジニアリングサービス)に求められる仕事の役割
社内SEは自社事業をIT技術でビジネス構築を支援します。
Sier SEはシステム自体を構築し提供します。
SESの仕事は、ITの支援を人材派遣を行うモデルです。人の時間が価値の源泉です。
上記図で一目瞭然ですが、ビジネス・システム構築のお手伝いをします。
売上は、人×単価で決まるビジネスモデルです。
SES=人(時間)を売っている
社内SE/SE=システムが提供する価値を売っている
つまり、端的に言うと、何か成果を売っているモデルと、人月を売っている違いです。
このSES/社内SE/Sier SEの生み出す価値の違いが年収の違いに直結しています。
なぜならば、生み出す価値は、ビジネスインパクトにより高く評価=高額に評価も可能だからです。つまり、対価が高く支払われる可能性があるからです。
一方、人材提供は、人手の解消を目的にしているのでなるべく低価格を常に求められます。よって、給与・年収も上げずらいビジネスと言えます。もちろん、個人の能力次第では、高い能力を求められる案件にアサインされ年収アップを狙う事はできます。
IT業界の下請け構造
先ほどご紹介した、SESの仕事の役割以外に、更にお仕事のもらい方=多重下請け構造もSESの年収が少ない事に影響をします。
以下の図の様に、IT業界では、クライアント企業からの仕事を大手Sierが受注し、それを2次受け、3次受けに発注する構造があります。この多重下請け構造もSESさんの給与が上がらない!を助長しています。
*SESの仕事の闇に関しては、「SES・客先常駐「やめとけ」と言われる根本的原因と12の理由」の記事で詳しく解説しています。
SESの年収に影響を及ぼす多重下請け構造をもっと詳しく解説
SESの業界構造とSESの年収には大きく関連があります。その構造に関して更に詳しく解説します。
多重下請け構造の課題を3つの数字で解説します。
SESのピンハネの構造
職種別の案件時の大体の単価
職種別の案件時の大体の年収
SESのピンハネの構造とピンハネ率
ITのプロジェクトはクライアントからの仕事をもとに、プロジェクトに必要なリソース(人員)集めをおこないます。日本の様に簡単に解雇できない事情の為、IT案件の為に人を採用するようなことはせずSierさんにプロジェクト事で人を集めます。
その発注する際は、どの発注元もビジネスを営んでいるわけなので自社の利益を確保します。(以下図)大体のピンハネ率は、30~40%と言われています。
先ほどの例をもとに仮に3次までSESを委託した例を計算してみます。
ケース:クライアントが120万で業務委託の派遣を要請
大手が120万で受注し、3次まで依頼
ピンハネは30%
といった、比較的ひどくない下請けのケースです。しかし、最終的にSESさん支払い可能金額のベースは40万程度になります。
*これは比較的多重下請けがひどくないケースです。中には間に5社以上のケースも耳にしました。
企業としては3次受けから発注いただく金額から、営業・経理とかもろもろSESさん以外の給与や賃料とかを払うわけなので、、、
と言った形で、そもそものビジネス構造上SESの人月ビジネスはSESさんにお支払いする原資をどんどんピンハネされる構造です。これが、多重下請け構造の課題というか、日本のシステム開発の課題です。
SESさんは日本のシステム構築を支えている事実
日本の様に
・簡単に解雇できない
・ほとんどのシステムエンジニアはIT企業にいる
(アメリカではほとんどのシステムエンジニはユーザー企業に就職し、転々とする)
をふまえると、
SESさんの仕組み無しではプロジェクトを回すのが厳しいのもかなり現実・・・
SI企業側の課題としては、例えば1年間で100人の開発者が必要だけど1年後に100人全員が必要じゃなくなる開発プロジェクトがあった時にどうするか、かと思っています。
— Hiro Shimo(志茂 博) (@hiroshi_shimo) August 10, 2019
これを多重下請けを使わずにどう解決するべき、というご意見はありますか?
日本の事業会社の課題は、IT投資は進めたいけど、人をそのために採用はできない。。。
その為プロジェクト事に人集めをしていくといつの間にか多重下請けになってしまう、、、
そのシワ寄せは末端のSESさんが受け止める形になってしまっています。
言い換えると、SESさんが日本のシステム開発を支えています!
職種別の案件時の大体の単価
経験知から、大体大手SierのSEの単価は、120万~350万くらいです。SESは、60万~120万と言った感じです。
先ほどの多重下請け構造を理解できると各エンジニアの単価感も理解できます。
プロジェクトの構造上、大手Sierさんも、1次受け等のSESさんを使う企業はさすがに自社エンジニアよりも高い単価でお仕事をSESさんに依頼しません。外注する先の単価が高ければ、、、そもそも外注(下請け)しないですからね。
職種別の案件時の大体の年収
単価の説明で想像がつくかもしれませんが、SESさんの年収も社内SEや大手Sier SEの方が高額になります。という構図(以下図)です。
以下再掲ですが、SESさんの給与は400万、単価は60万~120万となっています。
業種 | 平均年収 | 単価感 |
---|---|---|
一般 | 419万円 | N/A |
社内SE | 510万円 | N/A |
システムエンジニア | 550万円 | 120万~350万 |
SES | 350~400万 | 60万~120万 |
SESが年収を上げる3つの選択肢
SESさんが年収を上げる為に出来るおすすめの選択肢は3つです。
・転職する 1押し
・スクールでスキルアップ 2押し
・優良SES企業へ転職する 3押し
同じITエンジニアの社内SE/システムエンジニアに転職する
これが一番おすすめです。理由は、SESもSier SEも社内SEもシステムエンジニアでそんなに仕事がかけはなられるか?というとそうでもありません。*一部例外はありますが、後述。
いくらあなたにスキルがあってもビジネスモデル上SESの年収には構造的チャレンジがあります。ITの経験をある程度積めたら、是非Sier SEや社内SEに転職しよりよりあなたにあった仕事と年収を手に入れましょう。
私の周りでもSESからそのまま事業会社の社内SEになるケースを目にします(私もSES企業とちゃんと合意の上、手続きもちゃんとし採用したケースもあります)彼女の場合も、年収は100万以上アップしました。
SESさん向けのお勧め転職エージェントは以下の記事で詳しく解説しています。
もし、今のSESの仕事で実はエクセルの入力だったり、家電量販店の営業をさせられている場合は、次の選択肢がおすすめです。
プログラミングスクールでまずはスキルアップ
SESのメリットは、未経験でもIT業界に飛び込みやすい事です。ですが、転職するほどスキル・経験を現場で教えてもらえていない場合もあります。その場合は、プログラミングスクールなどを利用して実力を粛々と上げるべきです。
プログラミングスクールの詳細は以下で解説していますが、
・プログラミング言語以外に開発のプロセスも学べる
・ITに必要な知識も体系的に勉強可能
・無料で学べるプログラミングスクールも存在
等メリットがあります。
独学でも勿論勉強は可能ですし、ある程度実力をつけたら独学できるかできないか?がその後の実力・キャリアアップに直結します。
しかし、基礎はしっかりと学ぶのが最も時短で効率的でおすすめです。
独学も開始したい方は、以下の記事もおすすめです。
優良SES企業へ転職する
SESのビジネスモデルの課題をメインで解説しましたが、一口にSES企業といってもピンキリです。現在ブラックなSES企業で働いている場合は、優良なSES企業への転職も手です。
これも一つの手ですが、ビジネスモデルの構造上どんなに優良といっても壁はあります。お医者さんと看護師さん、薬剤師さんで年収レンジが違うようなイメージです。
・大手SES企業である
⇒中小だとやはり2次受け・3次受け等になる感じがします
・取引しているクライアントが優良企業
⇒商流の上流に位置しているほどピンハネされない可能性が高いです
・研修制度が充実
⇒ブラックはそこまで手が回りません
優良SES企業の見つけ方の選択肢は2つです。
①ITに特化した専門性の強いエージェントを活用し求人を紹介してもらう
ITに専門性のないエージェントは、そもそもSESとSierの違いなんて分からないので、味噌くそ一緒に提案してきます。気をつけましょう。優良SES企業に転職する場合は、以下の転職エージェントの活用をお勧めしています。
優良SESへの転職も以下くじ解説している、DODA・マイナビITの活用がおすすめです!
SESの(単価・年収・給与)相場は?年収が上らない解決案3選まとめ
SESさんの給与は400万、単価は60万~120万となっています。他ITエンジニア系職業比較で低い傾向という結果です。
業種 | 平均年収 | 単価感 |
---|---|---|
一般 | 419万円 | N/A |
社内SE | 510万円 | N/A |
システムエンジニア | 550万円 | 120万~350万 |
SES | 350~400万 | 60万~120万 |
SESの給与が低い理由は、
・SESのビジネスモデル
⇒社内SEやSier SEさんを支えるモデル
・IT業界の下請け構造
⇒支え方が、ITリソース提供のモデル
が原因でした。
年収アップの選択肢としては、
①スキル・経験がある人=社内SE/SE転職
②IT未経験者=まずは独学もしくはプログラミングスクールで勉強
③優良SESに一旦転職
でした。
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