ITスキル システム開発講座

2-4 システム開発の契約3種3形態を正しく把握しよう

ITスキル

システム開発の契約ってどうなってるか理解したい!
言葉の違いもいまいちわからない

と言った悩みに答えます。

この記事を読み進めることでシステム開発を推進する、情シス・社内SEの方が理解必要な契約関連用語の理解及び契約の進め方、気を付ける事を理解できます。

この記事では、
「秘密保持契約」
「基本契約」
「個別契約」


「業務委託契約=準委任契約」
「請負契約」
「派遣契約」

を解説します。

✔記事の信ぴょう性

EC大手のSE管理職として活躍中。グローバルでのシステム開発、15か国以上へのシステム導入経験、社内SE講師としての経験に基づく学びから社内SEさんに有益な情報を提供できます。

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システム開発の契約プロセスと成果物相関図(おさらい)

上記の図は、前の記事【システム開発が上手くなる為に、プロセス全体概要を理解から始めよう】でご紹介したシステム開発における全体プロセスです。まだご覧になっていない方は初めにご覧ください。

前記事からの続きになりますが、本記事では、以下のシステム開発における
・【契約系の関連準備】プロセス(赤抜き)
・プロセスに必要な各種契約書(赤枠)

の部分を解説していきます。

システム開発の契約に関するプロセス

契約に関するプロセスは以下の2つです。

・契約プロセス
・契約の変更合意プロセス

1つづつ解説していきます。

システム開発における開発契約(基本契約・個別契約)

契約プロセスは、ベンダーと企業間で取り決める約束です。システム開発では、ある程度のトラブルはつきものです、そんなトラブル時でも事前に一定量の取り決めを行っていればスムーズに協力してそのトラブルを乗り切ることが出来ます

契約のタイプは、NDA(秘密保持契約)、基本契約書、個別契約書です。後ほど詳細を解説します。

システム開発における変更合意プロセス

契約変更プロセスは、事前に取り決めた契約に何らかの変更が必要だった場合に契約の変更合意を実施します。契約変更は発生しないにこしたことはありません、しかし、実際には非常によく発生するプロセスですのでしっかり認識しておきましょう。

どうやって契約・契約変更のプロセスを習得すべきか?

会社ごとに契約・変更合意のプロセスは各社各様です。社内の法務や、ITに管理部署があれば必要文章を確認しましょう

例えば、契約のケースで大手と中小では以下のようにプロセスが違っていたりします。

・大手でCIOが配備されているケース

 チーム上司承認、契約書上司レビュー→CIOへの説明+押印→社内押印申請,といったフローになると思います。

・中小企業でITが総務組織内に存在するケース

 チーム上司承認=役員承認→社内押印申請、といったフローになると思います。

組織の規模とルール次第です。

まずは、契約と変更合意のプロセスというフレームワークの理解をし、実際のフローは社内確認をしましょう。

2-7 システム開発を基礎から学べるお薦め本12選】記事で、ITの契約におすすめの書籍を紹介しています。もっと詳しく契約の内容も学びたい方はあわせてご覧ください。

2-17 【厳選】SEにおすすめ本20冊と勉強方法|社内SE/情シス必見
社内SE・情シス1年生を抜け出したい!勉強の仕方がわからない!と言った悩みに答えます。現役の社内SE講師がお勧めする勉強のステップとおすすめ書籍を紹介します。このステップで書籍を読み進めるだけで脱初心者できます。

システム開発における契約変更のパターン

良くある契約変更のパターンを参考までご紹介しておきます。主には以下の3つのパターンです。

契約変更のパターン:

①システムの要件が追加・変更された
②開発遅延によりリリース日が延期された
③当初想定していた作業が不要になった

契約変更のパターンというよりは、良くあるシステムの難所とイコールになっています。

①難しい業務要件のFIX
②考慮不足等による上がらないシステム品質
③当初のスケジュール・作業見積の甘さ
と言い換えることもできます。

どのようなプロジェクトでも大なり小なり上記状況は発生します。

契約の中で吸収できるのか、変更合意・追加請求等発生するのかまずは上司と相談し、チーム内で合意形成後ベンダーとの交渉が必要になります。

コミニケーションスキルの上達におすすめが、抽象化スキルです。話し方よりも、話す抽象度のコントロールが相手に物事を伝える際には重要です。ベンダーや上司とのコミニケーションをより円滑にしたい方は合わせて以下の記事も読んでみてください。

説明・プレゼンテーションが上手く伝わらない本質は?【新常識】
説明が上手くなりたい、どうすれば伝えられ様になるの?といった悩みに答えます。ご紹介する抽象化思考を身に着けることにより伝わる説明が出来るようになります。

システム開発が遅延しないように推進するコツは、後ほどステップアップ講座で解説しています。以下のリンクからもジャンプ可能です。

2-7 システム開発の遅延理由50%は要件定義の失敗:事例と回避策
要件定義が上手くできない。遅延を未然に防ぎたいといった悩みに答えます。記事前半で、要件定義の失敗の要因を解説します。後半では失敗しない勘所をご紹介します。

システム開発の契約するNDA(秘密保持契約)・基本契約書・個別契約書

契約や変更合意で登場する契約書は以下の3つです。

NDA(秘密保持契約)
基本契約書
個別契約書

NDA(秘密保持契約)とは?

「Non-Disclosure Agreement(秘密保持契約)」の頭文字を取った略語。取引を行ううえで知った相手方の営業秘密や顧客の個人情報などを取引の目的以外に利用したり、他人に開示・漏えいしたりすることを禁止する契約のこと。

引用元:大塚商会

システム開発をベンダーに依頼する際に、RFPを提供しその内容に基づき提案を頂きます。社内の業務内容の共有や、システムの構成等をベンダーに提示するわけですので会社間での秘密保持契約に関してはきちんと事前に締結する必要があります。

基本契約書とは?

基本契約とは、継続的取引全体に適用される基本事項の合意をいいます。B to B 取引の多くは継続的な取引ですが、逐一網羅的な契約書を作成していると取引コストが増大してしまいます。そこで、あらかじめ基本事項を合意しておくことで、その後の取引について簡易な合意で済ませるようにするのです。

引用元:良い契約by AI-CON

基本契約を企業間で締結できれば、個別契約もこの基本契約に紐づけた形で実施できるので社内の押印・法務確認もスムーズに進みます。

ベンダーと契約する際は、社内の法務や、相手の営業に確認しても基本契約の有無は確認可能です。

実際、なかなか基本契約を企業間で締結するには時間がかかります。ですので、経験上個別契約で済ませるケースも多々あります。

個別契約書とは?

個別契約とは、基本契約の対概念であり、個別的な単発の取引契約のことをいいます。基本契約がなければ、そもそも個別契約を観念することはできません。一般的な取引契約の構成要素のうち、基本事項として基本契約ですくい取った残りの部分が個別契約なのです。とはいえ、個別契約では、個別の取引の中核部分が合意されることになります。

引用元:良い契約by AI-CON

名前の通りですが、案件個別の契約と捉えて問題ないです。会社間の基本契約に比べ格段に契約締結スピードが速いです。特に、ITにおいて海外に本社を置く外資系企業や海外製品の導入の場合海外の企業は基本的に【基本契約】の内容は変更してくれません。

その場合には、個別契約で対応してしまうのも手です。個別契約だから不利になるか?というとそういうわけではなく、今回の締結するプロジェクトに関係のある要素に関してきちんと確認し合意形成をとれれば問題はありません。

システム開発で登場するNDA(秘密保持契約)・基本契約書・個別契約書のひな型

ここまで解説した各種契約書のひな型も紹介します。

基本契約書と個別契約書は、IPAが提示する、ひな形です。
基本契約書
個別契約書

NDAに関しては、経済産業省のひな型になります。
NDA

システム開発の契約の準委任・請負・派遣契約の違いって何?

システム開発における契約の種類と併せて抑えておきたいのが、契約の体系です。

主に以下の3つが契約の体系です。

「業務委託契約」=「準委任契約」
「請負契約」
「派遣契約」

です。

「業務委託契約」=「準委任契約」とは?

よく、業務委託契約という言葉を耳にしますが、正式にはこれは「準委任契約」です。成果物の納品義務が発生しないので、瑕疵担保責任もありません。

要件定義やテスト支援でよく使われる契約体系です。又、海外の企業と締結する場合もtime and material(よくタイマテと言ったりします)で契約したりします。開発までもタイマテで契約してくるので注意が必要です。外資の企業の場合この条件を変更するのは相当大変です。コツは、ありません。粘るか、あきらめるかです。

システム開発における請負契約とは?

読んで字のごとく一括で請け負う契約体系です。システム開発・単体テストまでよく請負契約で契約しします。請負になるので瑕疵担保責任が発生します。請け負っていただく形の契約になるので、発注側に指揮命令権がないのも特徴です。

派遣契約とは?

準委任契約に非常に似ていますが、単純に発注側に指揮命令の権利の有無の違いが正式な違いです。システム開発において現場でのイメージの違いは、準委任は常駐しないケースがほとんどで、会議ベースで企業に足を運んでいただくケース、一方、派遣の場合企業に常駐してもらい業務を支援してもらうケースがほとんどです。

システム開発のテスト支援や運用フェーズで派遣契約を利用するケースがほとんどです。(テストは準委任契約の場合もあります)

システム開発における契約体系の違いを一覧で確認

ここまでご説明した契約タイプを一覧にしました。以下のイメージを頭の片隅に入れておくだけで相当契約に関して体系的に理解できます。


契約タイプ
指揮命令権完成責任瑕疵担保責任よく利用されるシーン
準委任契約なしなしなし要件定義・外部結合テスト・システムテスト支援
請負契約なしなしありシステム開発・単体テスト
派遣契約ありありなし運用フェーズ

システム開発の契約教えて|NDA・基本契約・個別契約って何?のまとめ

社内SE・情シスがおさえておきたいシステム開発の契約に関して網羅的に解説しました。

基本となる、契約のNDA・基本契約・個別契約の種別から、契約タイプの請負・準委任・派遣までかなり網羅的に解説しました。

この知識だけでも、社内SE2年目~5年目の先輩社員を追い越す情報と思います。システム開発において契約は非常に重要な約束の形です。

無形のソフトウェアであるからこそ、ベンダー・社内SE間で合意形成を見える形で行うことに効果と意味があります。

次の記事:

2-3 システム開発【ユーザー・社内SE・ベンダー】役割の違いと勘所
システム開発におけるユーザー・社内SE・ベンダーの役割の違いを解説します。記事前半で、システム開発のそれぞれの役割の違いを解説します。記事後半では、システム開発の役割の3つの注意点・勘所を解説します。