
PoC死って何?
最近PoC死が増えてるって聞くけどどういう意味?
といった疑問に回答していきます。
ツイッターでこんなコメントをしました。
クラウド化によって、下がったIT投資のハードルは、
— トルネコ@IT×ビジネス (@toruneko_it) November 30, 2019
IT投資へのスピード感と引き換えに慎重さを失い
結果、PoC死が乱立する状態となっている
PoCとはいえIT戦略にもとずくコンセプトが必要
コンセプトなきPoCは、どぶにお金を捨てる行為に他ならない
アジャイルという検討・ゴールのない開発も同様
なぜ、PoC死は増加しているのか?どのようにPoC死は防ぐことかが出来るのか?解説していきます。その前に、そもそもPoCご存じない方は、まずはこちらの記事をご覧ください。PoC(Proof of Concept) とは?読み方・進め方・勘所まとめ
PoC死とは何か?

『PoC死』とは、無意味な概念検証を実施してしまい、お金をどぶに捨ててしまう行為を指します。PoC死とは、その概念検証を最後までやり切ったか?やり切ってないか?はあまり生死を分ける重要なポイントではありません。
PoCの死(失敗)は以下の様に定義されます。
・PoCはやりっぱなし、一向に本プロジェクトが前に進まない
・PoCで概念検証になっておらず、無駄なPoCを実施する
なぜPoC死は増加しているのか?技術進歩により上昇する致死率

PoC死の増加の原因は以下です。
・技術的に簡易化・高速化したITの環境
・金銭的・心理的に低下したPoC(概念検証)のハードル
1つづつ解説ししていきます。
技術的に簡易化・高速化したIT環境 |オンプレからクラウドが誘発するPoC死

AmazonのAWSのサービスを筆頭に、企業のクラウド化は進行しています。
上記画像は、日本のクラウド化利用状況の推移です。年々クラウドを利用する企業は増え2017年の時点で既に半数の企業がクラウドを利用しています。
クラウド化により、それまで企業内部で開発する際に一番のボトルネックだったサーバー等の物理的な調達・準備が不要になります。
さらに、自社でサーバーも管理しないので、過度なデータやスペックの必要がなくなります。必要な時に、必要な分だけ使いIT開発を推進できるようになりました。
この技術的に容易になった背景がPoC死に密接にかかわります。
金銭的・心理的に低下したPoC(概念検証)のハードル
クラウド化の技術確認しにより、調達容易性だけではなくコストも押し下げました。今まではサーバーの調達だけでも数百万~高いものでは1千万以上していました。
さらに、その環境を維持するコスト。インフラを管理するインフラ担当のコスト等々必要でした。
とても気軽にPoCを始められる状況ではありませんでした。
技術的にも、コスト的にもハードルは高く
企業は慎重にならざる終えなかった=PoC死は少なかった
乱立するPoCこそPoC死誘発の最大の要因
第4次産業革命で今後も増加するPoC死。その2つの理由
第4次産業革命・DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展に伴い、新しい技術への挑戦が拡大しています。そもそも第4次産業革命をご存じない方は『 第4次産業革命/Industrial4.0とは? 』をご覧ください。
これにより更にPoCが増加する2つの理由は以下です。
・日本も新しい技術を果敢に取り入れる為、検証は必須になる
・データ量が増加しクラウド化進行 。さらに多くの企業のPoCハードルを低下
日本も新しい技術を果敢に取り入れる為、検証は必須になる
第4次産業革命で、IoT,Fintech, AIといった未開の技術をビジネスに果敢に取り入れようという動きが世界各地で起こっています。
挑戦には、失敗はつきものです。どの企業も、少しでもリスクを低下させようとPoCを行う企業が増加すると予想できます。
PoCの勘所を把握せずチャレンジしてしまう企業も多く存在しPoC死を招きます。
データ量が増加しクラウド化進行 。さらに多くの企業のPoCハードルを低下
第4次産業革命の注目技術がIoTです。世界中のデバイスがオンラインとつながり、これまで取得できなかった情報が集まり始めます。つまり、多くの企業は情報で溢れかえります。
普通に考えても、増加する情報量を正確に試算し、迅速に準備を進めるのは無理です。結果、多くの企業がリソースの調整が可能なクラウド化をする流れが予想できます。
第4次産業革命でどれくらい情報量が増加すると予想されているの?

調査会社IDCの予測によると、2025年には、2016年に比較して約10倍の163ゼッタバイトというとんでもない数の情報が生み出される試算をしています。
これまで、通常の業務で発生する非IOTのデータに加え、2022年頃から爆発的にデバイス等から情報を吸い上げる非IOTのデータが増加すると予想されています。
売り上げベースのクラウド化の推移も見てみます。
2018年の国内クラウド基盤サービス市場は、前年比133.3%の3,200億円と推計しています。年々、クラウド化は順調に増加しています。

PoC死の原因|技術的・金銭的ハードルの低下が招いたもの

・IT投資の技術的ハードル(クラウド化)
・下がったPoC開始コスト
が起因して、何よりも下落してしまったのは、検証を実施する人々の心のハードルです。
それまでは、PoCを始めるにもリスクが大きかったため慎重にならざる終えませんでした。
しかし、簡単に・安くPoCが出来るようになれば、当然重い腰も軽くなります。
これはむしろ本質的には、日本企業への新しい技術を取り入れビジネスを加速させるチャンスになります。
とはいえ、PoC死しない為に何をすべきか?

折角のクラウド化で軽減したリスク・ねん出した時間を、無駄なPoCでつぶしてしまわない為お勧めに最も重要な本質は以下です。
・PoC推進者が、 PoC開始 ハードルが以前に増して下落していることを認識する
つまり、以前の投資の判断基準、プロジェクトの進め方、検証確認のスピード感では立ちいかなくなっている事実を認識する事が最も重要です。
この状況は言い換えると、技術の進歩に、われわれの能力が追い付けていないから死亡事例が後を絶たないという事実を物語っています。
言い換えると、山手線に乗る感覚で、宇宙に誰でも行ける世の中になったとしても大半の人は、準備不足で呼吸もできず、寒さ対策もわすれご臨終してしまうと同じです。
まずは、我々のマインドが現代のスピード感に追いつくことから始める必要があります。
以下の記事では、具体的にどのようにPoCの失敗・疲れを防ぐことが出来るかを紹介しています。PoCの失敗・疲れを簡単に回避するチェックリスト【具体的手順】
PoC死って何?増加の原因を理解し無駄死にしない方法のまとめ
PoC死とは、AWSのようなクラウドサービスの導入により減少した技術的・コスト的ハードルの低下に伴い、心理的なハードルが下がってしまったことが根本原因です。
まずは、PoC推進者として具体的な準備の前に、『このPoCは何のためにやろうとしているのか?』、『本当に意味あるのか?』を明確にする必要があります。
まずは、この事実を抑え、PoC死が増加してしまう原因は、われわれの考え方が現在のPoCのスピード感に追いついていない事が原因で起こっていることを自覚する事から始める必要があります。その上で具体的なPoCで失敗しない為のチェックリストを使ってPoC死を防ぐ必要があります。
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