WBSを書けるようになりたい!
WBS同準備すればいいの?
WBSの利用時のコツも知りたい!
といった不満を解消します。
この記事を読むことで、プロジェクトの進行に必要なWBSを上手く書けるようになります。又、WBSの勘所を抑えて書けるようになることで、プロジェクトの推進事態も上手に推進できるようになります。
本記事で解説する範囲
は、一般的に解説されるWBS作成時の勘所・ポイントにとどまらず
・WBS準備で大事な事
・WBS作成時に気を付ける事
・WBS利用時のポイント
・WBSサンプルおすすめサイト
を一連の流れで解説していきます。
社内SE・情シス向けにシステム開発のWBS作成・プロジェクト推進経験をもとに解説していきますが、内容的にはどんなプロジェクト・どなたでもWBSを書く際に応用できる勘所・ポイントとなっています。
✔記事の信ぴょう性
SIer SE→現、一部上場企業社内SE(IT歴15年以上)。基幹システム開発、及び、グローバル16拠点への導入やSCM・MDM等システム開発。社内SEの情報サイトIT Comp@ss運営者。「社内SE 1年目から貢献!情シス 企画・開発・運用 107のルール」著者。
WBSを書くその前に、抑えておきたいポイント!
WBSを作成する前に、是非抑えておきたい幾つかのポイントを解説します。
ポイントは、
WBSの目的を正しく理解
WBSとガンチャートの違い
WBS作成のメリット
WBS作成の注意点
です。
1つづつ解説していきます
WBSの目的とは?正しい理解でゲームは決まる
WBSを何を達成するツールと理解するか?が非常に重要なポイントです。
WBSで進捗管理は勿論できます。しかし、WBSを進捗管理のツールだけだと捉えると不足しています。
WBSは、プロジェクトの合意書なのです。
合意する内容は、
・タスク
・工数
・担当
・目標
これらを、明確に見える形にし,コンセンサスをとるツールである認識がもっとも重要です。
つまり、漏れなくタスクを出す【描く工程】よりも、それを必要な関係者と【合意する工程】こそが一番の重要なポイントです。
プロジェクトオーナーの視点では、主要マイルストーン、最終リリースのゴール
開発者の視点では、開発における各成果物とは?とその納期
業務ユーザーへの視点では、協力いただきたい期間と作業
こういったプロジェクトのタスクの前提合意がWBSの最も重要なポイントです。
これなくして、進捗もなにもありません。
WBSの構造、ガンチャートの違い
WBSとガンチャートの違いも抑えておきましょう。
WBSは上記図でいうと、左側のタスクを構造的に洗い出す部分をさします。ガンチャートは、右側の工程表になります。プロジェクトでWBSというと既にWBS+ガンチャートを指す場合が一般的ですが、一応定義が異なることも頭の片隅に入れておきましょう。
WBS作成のメリット
WBSで構想的にタスクを洗い出すことにより様々なメリット生まれます。
WBSのメリット
・漏れなくタスクを洗い出すことが出来る
・担当を明確にできる
・やるべき作業が頭の中で整理できる
・プロジェクト推進のリスクが見えるようになる
・関係者と作業工程・期日を合意できる
システム開発の誰が、何を、いつ作業するのか、を段取るわけですので上記の様なメリットが生まれます。
WBS作成時の注意点
注意点としては、漏れなく作業を洗い出す必要があります。この点に関しては、具体的に次からのトピックでどうすれば初心者でも漏れなくタスクを考えることが出来るのか?を解説します。
管理者・上司の目線で、WBS作成の注意点は、実施する本人に書かせる事です。
自分で頭に汗かき考えたタスクは、推進する作業のイメージもなくやらされ感が強まります。さらに、他人が書いた作業・スケジュールでは、なぜこのタスクはこんなにも工数がかかってしまったのか?次等、疑問も生まれません。結果、システム開発実施、課題検知、改善というPDCAが生まれません。
注意点
WBSは実行する本人が描く=主体性のあるプロジェクト推進と改善が行える
WBS作成時に押さえておきたいポイント・書き方の手順
重要でない点からお話しすると、
・どんなテンプレートにしようかな?
・チャートの線をどうすればいいの?
等は、意外とどうでもいい観点です。
ですが、非常に沢山の方がWBS作成時に時間を多く使う点でもありません。
重要なのはそこではないです。
WBSの作成時に重要な観点と、おすすめの手順にを解説していきます。
WBS作成時の重要なポイントと手順
ステップ① テンプレートをダウンロードする
2回目以降、以前のテンプレートを使う
ステップ② フレームワーク使いタスク項目を体系的に洗い出す
ステップ③ プロジェクトのマイルストーンに日付を入れる
ステップ① テンプレートをダウンロードする
どんなテンプレートにしようかな?という観点は重要ではありません。ですが、テンプレートを使う事は非常に重要です。
ネットで探せるほとんどのテンプレートが、以下の図の様な観点を抑えています。
テンプレートの重要性は、あなたの作業を短縮するだけではなく、進捗管理のノウハウが詰まったツールの活用という利点をもたらしてくれます。是非活用し作業を効率的に進めましょう。
上記のテンプレートは、Vectorのサイトからダウンロードできます。又、以下の記事で、他テンプレートも記事下で紹介しています。
補足
テンプレートによっては、プロジェクトサイズ的に管理項目が多すぎるテンプレートもあります。その場合は、エクセルの不要項目を非表示にして、管理すべき項目に絞り活用しましょう。さもないと、管理もしない項目のメンテに工数ばかりかかってしまいます。
ステップ② フレームワーク使いタスク項目を体系的に洗い出す
テンプレートがお手元に用意出来たら、次はWBSのタスクの洗い出しを漏れなくダブりなく実施します。ダウンロードしたテンプレートでは、既に開発の工程が左の軸に記載されています。それを膨らませる形でタスクの洗い出しが効率的です。
さらにお薦めは、「2-2 システム開発の標準プロセスを具体例で理解を深めよう」記事で紹介したシステム開発の工程プロセスと成果物を軸に、そのプロセスごとにタスクを洗い出せばかなりぬけ漏れなく作業を洗い出せます。
2-2で解説したシステムプロセスと2-9で解説した成果物で機械的にどんどん縦の作業を洗い出します。
参考までに以下で2-2と2-9の内容も張っておきます。
2-2で解説した、システム開発プロセス
2-9で解説した、成果物一覧
プロセス | 成果物名 | 作成担当 | レビュー担当 | サンプル |
---|---|---|---|---|
契約・変更合意 | NDA(秘密保持) | 企業間 | ||
見積書・提案書 | ベンダー | 社内SE | ||
基本契約書 | 企業間 | |||
個別契約書 | 企業間 | |||
企画 | 企画書 | 企画者 | ||
RFI | 社内SE | ベンダー | ||
RFP | ベンダー | 社内SE | ||
業務要求定義 | キックオフ資料 | 業務 | ||
ビジネスプロセス関連図 | 業務 | |||
AS-IS 業務フロー | 業務 | |||
To-BE 業務フロー | 業務 | |||
要求一覧 | 業務 | 社内SE | ||
投資審議資料 | 上程者 | |||
予算管理 | 予算管理者 | |||
要件定義 | マスタースケジュール | 業務 | ||
体制図・会議体 | 社内SE | |||
マネジメント方法 | 社内SE | |||
ドキュメント管理 | 社内SE | |||
コミニケーション管理 | 社内SE | |||
要件一覧 | 社内SE/ベンダー | |||
機能一覧 | ベンダー | 社内SE | ||
画面一覧 | ベンダー | 社内SE | ||
画面モック・レイアウト | ベンダー | 社内SE | ||
帳票一覧 | ベンダー | 社内SE | ||
帳票レイアウト | ベンダー | 社内SE | ||
外部システム関連図 | ベンダー | 社内SE | ||
外部インターフェース一覧 | ベンダー | 社内SE | ||
外部インターフェース定義書 | ベンダー | 社内SE | ||
バッチ一覧 | ベンダー | 社内SE | ||
機能概要説明 | ベンダー | 社内SE | ||
非機能要件書 | ベンダー | 社内SE | ||
画面遷移図 | ベンダー | 社内SE | ||
ビジネスルール定義書 | 業務 | |||
バッチ処理フロー | ベンダー | 社内SE | ||
移行計画書 | ベンダー | 社内SE | ||
トレーニング計画書 | 業務 | |||
開発(基本設計) | 概念データモデル | ベンダー | 社内SE | |
テーブル一覧 | ベンダー | 社内SE | ||
データ項目定義 | ベンダー | 社内SE | ||
システム構成図 | ベンダー | 社内SE | ||
ソフトウェア設計書 | ベンダー | |||
ネットワーク設計書 | ベンダー | |||
ハードウェア設計書 | ベンダー | |||
テスト | 単体テスト報告書 | ベンダー | 社内SE | |
外結合テスト計画書 | ベンダー | 社内SE | ||
外部結合テスト報告書 | ベンダー | 社内SE | ||
システムテスト計画書 | 社内SE | 社内SE | ||
システムテスト報告書 | ベンダー | 社内SE | ||
ユーザー受入テスト計画書 | 業務 | 社内SE | ||
システム操作マニュアル | 社内SE | |||
業務マニュアル | 業務 | |||
運用 | 運用設計 | ベンダー | 社内SE |
ここまでの、情報でかなり機械的にぬけ漏れなくタスクを洗い出す事が可能です。
ステップ③ プロジェクトのマイルストーンに日付を入れる
WBSの縦のタスクの洗い出しが完了したら、次にすべきことはWBSの上に記載してあるタスクから日付を入れていくことではありません。
まずは、リリース日や主要なマイルストーンなどピン止めすべき日付を入れましょう。そこから、いつまでに何のタスクをおわすべきなのか?を逆算で明確していきます。
あわせておすすめ記事
WBS作成時のコツ3点
さらに、おすすめのコツを3点紹介します。
・分からない or タスクが浮かばない場合どんどん先に進む
・一度書いた後に逆の流れでタスクを整備
・タスクを見る目線を、担当であれば管理職と言った具合に視点を変える
分からない or タスクが浮かばない場合どんどん先に進む
作業をどんどん洗い出して息詰まるときもあります。そんな時は、あまり考えこまず次に進みましょう。後のタスクで、あ!そういえば前の工程でXXXしていないとこれできないじゃん!ときづいたりできます。
一度書いた後に逆の流れでタスクを整備
個人的には逆算でタスクを洗い出す思考方法をお勧めします。WBSのタスクの洗い出しにはバックワード・フォワード両方の時間の流れで作業を洗い出しましょう。
タスクを見る目線を、担当であれば管理職と言った具合に視点を変える
視点・目線を変えることで、思わぬプロジェクトのリスク・タスクが発見できる場合があります。お薦めは、
・社内SE目線でタスク漏れてないかな?(開発チーム・運用チーム)
・ユーザー目線でタスク漏れてないかな?
少なくともこの2つの視点からタスクを見る必要はあります。
トレーニング資料作成、マニュアル、運用テスト等良く抜けがちなタスクもキャッチできます。
あわせておすすめ記事
以下記事で、抽象度をかえ物事の本質を見る抽象化思考を解説しています。
WBS利用時の大事なポイント
WBSが出来上がれば、WBS作成作業もいよいよ大詰めです。
次は、出来上がったWBSというツールを上手く活用していくか?が論点です。
WBS利用時のポイント
・必要な関係者とWBSのコンセンサスをとる
・ルーティンワークにWBS確認する時間を確保する
・WBSのテンプレートツールをアップデートとしノウハウを蓄積する
必要な関係者とWBSのコンセンサスをとる
WBSを作成する為に、多くのプロジェクト関係者と作業定義、分担、納期を会話をしたと思います。最後に、担当者間で整合性をとったWBSをオフィシャルなものにし、プロジェクトオーナーともその日付・納期で合意する必要があります。
このオフィシャルに合意する行為(場合によっては、週次報告資料やPMOへ提出等)により前提を一度固めます。後は、定められたスケジュールに基づき作業を愚直に推進する必要があります。
ルーティンワークにWBS確認する時間を確保する
プロジェクトを進める際には想定外は発生します。その想定外にいち早く検知・行動をするために、WBSを更新・確認・リスクを検討する時間をスケジュールする事を強くお勧めします。
プロジェクトが過渡期になればなるほど、落ち着いて時間を取りタスクを確認するのが難しくなります。プロジェクト開始時から、WBS確認時間をルーティンワーク化しておくことにより時間を確保しやすくなります。
WBSのテンプレートツールをアップデートとしノウハウを蓄積する
ここまでで、作成したWBSも相当使い勝手がよいツールに進化しているはずです。しかし、このツールはあなたのプロジェクト管理ノウハウが詰まった知識と経験その物です。
プロジェクト中やプロジェクトの節目で、WBSというツール自体を磨きこむことにより、プロジェクトを追うごとにあなたのスキルはWBSツールという形で磨き上げられ、さらに、ツールの使い方も上達しよりプロフェッショナルなプロジェクト推進が可能になります。
WBSの書き方とコツ|プロジェクトのスタートラインに立とうまとめ
本記事で解説したWBSの準備・作成・利用時のポイントは以下です。
作成前に抑えておくこと
・WBSの目的を正しく理解
・WBSとガンチャートの違い
・WBS作成のメリット
・WBS作成の注意点
WBS作成時に気を付けるステップ
・ステップ① テンプレートをダウンロードする
・ステップ② フレームワーク使いタスク項目を体系的に洗い出す
・ステップ③ プロジェクトのマイルストーンに日付を入れる
WBS利用時のポイント
・必要な関係者とWBSのコンセンサスをとる
・ルーティンワークにWBS確認する時間を確保する
・WBSのテンプレートツールをアップデートとしノウハウを蓄積する