エンジニア管理職なりたくない、、、不安
今後の管理職に挑戦すべきか、技術職として進むべきか迷っている
管理職の魅力ってなんなの?
と言った疑問に答えていきます。
プロジェクトマネージメントの会社を経営される管理のプロ中のプロの巻幡社長に、エンジニアで管理職になりたくない!不安!と悩んでいる方の質問をぶつけさせていただきました。
記事概要です。
・前半:なぜ多くの方がエンジニアから管理職になりたくないと考えているのか?を分析
・後半で:巻幡社長から「管理職になるのが不安なエンジニアへのアドバイス」
を解説します
この記事を読むことで、悶々とした気持ちの整理のお手伝いをさせていただければと思います。
MPC巻幡代表プロファイル
マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社
代表取締役社長 巻幡 雄毅
プロジェクトマネージメントに特化したサービスを提供するMPCを経営
食品製造・流通・電気・計測機器と言った様々な領域プロジェクト支援された実績
SAP社とコラボし業務システムドクター巻幡として、企業の業務システムの診断中
エンジニアは、なぜ管理職になりたくないと考えているのか?
経営者として超一流のカルロス・ゴーンさんは、「経営者の目線で管理職・リーダーとは」に関して以下の様に言っています。(ゴーンさんは現状色々ありますが日産リバイバルの達成は超一流の証明です)
はたして、生まれながらのリーダーというものは存在するものでしょうか?私にはそう思えません。
確かに、リーダーシップの適性がある人はいますが、その数は想像以上に多いことでしょう。
その人がリーダーになれるかどうかは、その適性を伸ばす環境にいられるかどうかによって決まってきます。
こちらはそういった環境を用意して、つまりチャンスを与えて、その人がチャンスを活かせるかどうか見ればよいのです。
kakoshiru
一流のリーダーであるゴーンさんが、
「初めからリーダーはいない」
「適性を伸ばす環境に行く必要がある」
「チャンスを活かす必要がる」
と言ってるのは朗報です。
ゴーンさんの言葉からも分かるように、最後は勇気をだしてやってみるしかない、やってみるべきである、とは感じます。とはいえ、管理職1年目は、誰しもが不安です。
来月から管理職。不安だな。
— しょうこ (@shoko_choco3) September 20, 2020
ちゃんとやれるのかなあ。
お仕事なので、やるしかないんだけどね。不安を出しすぎると後輩を不安にさせちゃうから、管理職になったことへの不安は明日からは言わないようにする。でも今日だけは自分に許すことにしよう。
巻幡社長との会話の前に、不安を払しょくできるように以下の2つを紹介します。
8割の人は管理職になりたくないと考えている
管理職になりたい理由・なりたくない理由
8割の人は管理職になりたくないと考えている
マンパワー社が役職についていない正社員20代~50代の男女400名を対象に行った調査結果です。
「今後、管理職になりたいか?」を聞いたところ
・8割超が「なりたくない」(83.0%)
年代別のなりたい人の割合(上図がなりたい人の割合の年齢別推移)
年代が高くなるにつれ、「管理職になりたくない」という回答の割合が増える傾向
・20代(28.0%)
・30代(23.0%) ←最も多くなりたいと思っている
・40代(10.0%)
・50代(7.0%)←年齢が上がるにつれ管理職になりたくないとおもっている
一般的に、50代までには管理職なりたい人はなっている状態なので、当然の結果ですが残された人は管理職になりたくないと考えています。
興味深い数字は、全体の「8割は管理職になりたくない」と思っている点です。
この数字は、一般的に管理職は企業の約10%と言われているので(以下図参照)、管理職を目指す人で管理職への切符を手にするのはその半分ということ(なりたい人20%→なる人10%)になります。
8割の人は管理職になりたくないと考えている
2割の人は管理職になりたい
2割の内管理職になれるのは半分程度
管理職になりたい理由・なりたくない理由
マンパワー社は「管理職になりたい理由となりたくない理由」の調査結果も公開しています。
管理職になりたい理由TOP3
・報酬が増える 88.2%
・自分が成長できる 66.2%
・会社から評価されていると思える 25.0%
管理職になりたくない理由TOP3
・責任の重い仕事をしたくない 51.2%
・報酬面でのメリットが少ない 40.4% (残業や休日手当など)
・業務負荷が高い 40.4%
なりたくない理由が、責任と金。
なりたい理由と照らし合わせると、
・報酬が多ければ管理職になる
・報酬が少なければなりたくない、、
アンケート結果だけを切り取るとお金が両方の理由にからむ世知辛い結果です。
管理職になるか迷っており際に、お金への過度なフォーカスは危険です。
アイルランドの劇作家のバーナード氏は以下の様に言っています。
二十代の頃より10倍金持ちになったという六十代の人間を見つけることは簡単だ。だが、そのうちのだれもが10倍幸せになったとは言わないはずだ。
You can easily find people who are ten times as rich at sixty as they were at twenty; but not one of them will tell you that they are ten times as happy.
バーナード・ショー(アイルランドの劇作家、ノーベル文学賞受賞 / 1856~1950) Wikipedia
お金よりも大切な観点の「管理職の魅力・面白さ」を巻幡社長とのQAで後ほどお伝えします!
エンジニア管理職なりたくない!不安な方にプロからのアドバイス
前回の2つの以下記事に引き続きPMC社長にお時間をいただき様々な「エンジニアの管理職に関する悩み」に関して質問をぶつけさせていただきました。
前回ご紹介記事
・PMOのプロに聞いた「PMO意味ない・使えない理由と対策」
・プロジェクトマネージメントとは?手法よりも大切な本質|プロ直伝
今回お話をお伺いした内容
- エンジニアの方で「管理職なりたくない!不安!」と言う方に、是非、管理職の魅力を教えて下さい
- エンジニアが管理職になる際に知っておくべき事はなんでしょうか?
- エンジニアの方が管理職に挑戦する際に大事なコツ・アドバイスがあれば教えて下さい。
- エンジニアの方で管理職を目指さない事についてどうお考えですか?
では、早速お話いただいた内容をご紹介していきます。
エンジニアの方で「管理職なりたくない!不安!」と言う方に、是非、管理職の魅力を教えて下さい
社内にはさ。管理職になりたくない人もいるわけ。ていうか、エンジニアには多いよね実際。対して会社は、「給料上げたければ管理職になれ」っていうわけ。
— hishi (@hishi_kk) June 4, 2012
IT業界の場合、現場目線で「エンジニアが管理職になりたくない」と考える理由の一つに、専門職でなくなることが挙げられるように思う。
— 職業「戸倉彩」👩💻とくあや (@ayatokura) April 11, 2021
テクニカルパーソンとしてリーダーシップを発揮している管理職のロールモデル的な存在が、次に続く社員を増やすことに繋がるように感じるなど。 https://t.co/eEFnbYluX6
こういったTWITTERの声を聴いていると、管理職の魅力をしっかりと伝える必要を感じます。特に、エンジニアの方では、このまま現場でいたい、管理職不安という事で迷われている方がいます。
直近では、コロナの影響でリモートワークになり、今までは職場で上司の背中から管理職のロールモデルを学べる機会があった環境も変化し、余計に管理職が見えにくくなっている気がします。
管理職に関する様々な質問をMPC巻幡社長にさせていただきました。
Q:「エンジニアの方で「管理職なりたくない!不安!」と言う方に、是非、管理職の魅力を教えて下さい」
最初に私が管理職になったのは33歳です。たまたま、色々な条件が相まってお話をいただきました。
私も皆さん同様に、やりたくない、、勘弁して、、、と当初考えました。
そう思った背景は、上司の背中を見ていると様々な板挟みで大変そうだな、だったり、現場が分からなくなるのが怖いなと言った理由でした。
更には、漠然と使えないおじさんになっていくのが嫌だなと恐怖感すらありました。
最終的には、勇気を振り絞り引き受ける事になりました。
管理職になってみて感じた事は、
・チームを思った方向に動かすことが出来る
・出来なかったことが出来るようになる
・采配を振ることが出来る
のが魅力と感じます。
振り返ってみると、自身の武器が変化したと感じます。
役職が上がることは采配・裁量が上がる事 であり、組織に対して影響度が広がり出来る事が広がるというのが魅力です。
そこを魅力に感じるかどうか?がポイントです。
上記で解説したマンパワージャパンのなりたい理由、なりたくない理由では金銭的な要因が影響していたのに、実際なってみると管理職の魅力や判断のポイントは「管理」ではなく「裁量」であるとおっしゃっています。
なんだか「管理」と表現すると会社からさせられている感がしますが、与えられてもらうのは采配・裁量でありその広がり・期待とポジティブに受け取るとなんだか管理職の印象も変わってきます。
イメージにすると以下です。
人・物・金を管理するのが目的(左側のような感じ)ではなく
大きな裁量・采配を振るために人・物・金をコントロール(右のイメージ)できる
と理解ができます。
とはいえ、私も最初は不安の方が大きくやってくれと根負けしてチャレンジを決意した身なので、最終的にはやってみる。
合わなければもどるとかそんな感じで挑戦でいいのではないでしょうか。
エンジニアが管理職になる際に知っておくべき事はなんでしょうか?
2つアドバイスをさせていただきます。
先ほどもちらっとお話ししましたが、管理職になるという事は戦う武器が変わる事です。
エンジニアとしての今までの武器が使えなくなる事を意味しています。武器が刀からピストルに代わるようなものです。
ポイントは、今の戦い方において出来ている人だからこそ認められ、チャレンジを提供されていることです。
そのチャンスで、新しい技をみにつけ 戦えるようになる必要があります。初めは上手く使えなくて当然です。
新しいチャレンジに不安はつきものですが、全く違うフィールドであると認識する事が大事ですね。
私も管理職なりたての頃、今までの仕事では心地よくできていたのに、勝手が分からず苦戦しました。そんな時に、「誰でも最初は初心者、上手くできなくて当然」と割り切ることで吹っ切ることができました。
全く違う視点で、管理職へのチャレンジを会社から見た景色をお話します。
勿論、あなたの能力や功績を評価し管理職へのチャレンジ権を渡しています。さらに、あなたが管理職になることで、ロールモデルとして、成長していくプロセス・体験で後輩をあなたの様に指導・育てて欲しいというメッセージもあります。
考えてもみない視点でした。
管理職のチャレンジを渡された人は、業績だけではなく成長のプロセスも評価されていると思うとなんだか自信がわいてきますね。
もし、職場の上司の姿をみて管理職嫌だな!とか思っていた人にこんな考え方も
・あなたが管理職になってあげてあなたの背中を部下に見せ
・部下が管理職なりたいな!と思えるモデルになる
・もしあなたがいいモデルを見せれないとあなたの部下も間違った管理職像のままかも
エンジニアの方が管理職に挑戦する際に大事なコツ・アドバイスがあれば教えて下さい。
ある責任を果たすときには、条件を伝えるべきであると思っているます。
ただ管理職になるっていう話ではなく、部下に対してミッションを与えるべきです。
管理職になる際には、裁量・権限があるわけなので、その裁量で目指す・取り組むミッションをプランニングする責任があります。
管理職の「管理」とい言葉が独り歩きしていますが、巻幡社長の話をお伺いしていると、管理は会社・組織・チームのミッション達成のための手段であると強く印象づけられました。
ここまでのお話で、管理職に対してやらされ感が大分薄れてきました!
職位としての管理も前回お話したプロジェクトマネージメントも、管理する対象の期間は違うけども本質は同じです。
管理職は、プロジェクトマネージメント同様、そこにいるメンバー(人の不確実性)に向き合い目標に向かうように計画する事です。
管理職って、ハードルを上げて考えていた人も現場エンジニア時代に数々のプロジェクトをマネージメントしてきた人にとっては、決められたゴール・期間でのプロジェクト=人の管理は出来ているので、やってみると段々コツがわかっていきます。
エンジニアの方で管理職を目指さない事についてどうお考えですか?
働き方はどんどん流動的になていくと思います。その中でITって意外とジョブローテーションがきかない仕事かなと感じます。
例えば、営業から製造とかの移動はあるけど、なかなか営業からITからの移動はないですよね。
つまり、そもそも企業においてIT/社内SEの比率は少ないです。事業会社においてITの職業としての選択肢の幅の成長は(企業がよっぽど成長しない限り)難しいです。
そういう状況だからこそITは流動性をもっと高める必要があり、色々な企業で挑戦できる必要があります。
相当オブラートに包んでくれていますが、辛口にまとめると挑戦すべきだろう!とおっしゃってくれています。
・働き方は流動的になっているに流動的にならないIT業界
・エンジニアの流動性は少ない日本
・さらには、社内においてIT系のポジションも少ない
この状態で、本当に管理職のチャレンジをしないという選択肢を選びますか?
と、やさしく言ってくれています。
以前、社内SE専門の転職サイトを運営するアイムファクトリーの久美代表も同じように、IT業界の流動性をさらに高める必要があると「社内SE転職ナビの口コミの裏側をアイムファクトリー代表に直撃取材」の記事でおっしゃっていただきました。
社内SEという文化があるのは日本だけで、その文化のせいで海外の様な破壊的創造が起こりずらい下地と考えています。海外では、新しい技術を企業に取り入れる際に、専門の人を採用します。そのエンジニアもその分野の専門家としてパフォーマンスを発揮し、そのプロジェクトが終われば次の企業に転職します。こういったことが結構おこります。一方、日本は、その場にいる人でプロジェクトを遂行し、一度新しい技術を導入するとこんどはそれを守る立場に回ったりします。そうなると、更にいい技術やあるべき像がかわってもなかなかそれを意欲的に破壊する事が出来ず結果技術が陳腐化していきます。
「エンジニア・SE管理職なりたくない」プロから8つのアドバイスまとめ
ここまでで解説した内容をまとめます。
①最初は出来なくて当たり前なのでやってみてものにするしかない
管理職は、
②人・物・金を管理するのが目的ではない
③より大きな裁量・采配を振るために人・物・金をコントロールできること
④戦う武器が変わる事
⑤今の戦い方において出来ている人だからこそ認められ、チャレンジを提供されていること
⑥ロールモデルとして、成長していくプロセス・体験で後輩をあなたの様に指導・育てて欲しいと期待されている
⑦部下に対してミッションを与えるべき、ミッションをプランニングする責任がある
⑧プロジェクトマネージメント同様、そこにいるメンバー(人の不確実性)に向き合い目標に向かうように計画する事
管理職にはチャレンジすべきで、
・働き方は流動的になっているに流動的にならないIT業界
・エンジニアの流動性はそもそも少ない日本
・さらには、社内においてIT系のポジションも少ない
この状態で、本当に管理職のチャレンジをしないという選択肢を選びますか?
いかがでしたでしょうか?
管理職のチャンスが巡ってくることは相当恵まれていること、又、エンジニアとしてのプロジェクトマネージメントの経験もいかしつつ、新しい武器にチャレンジ出来る事が理解できたのではないでしょうか?
人生はどちらかです。勇気をもって挑むか。棒にふるか。(ヘレン・ケラー)
— そっと寄り添う名言 (@meigenchan_dayo) April 24, 2021