巷では、PMO使えない・意味ないという意見を時々耳にします。
PMOが雑用係化してしまう(というかそういう人材配置をしてしまう)ケース、PMがPMOをうまく使えないケースと現実には様々な失敗事例がありますね。RT @manji0427: 迅速なPjt状況の把握・報告・意志決定サポートはPMOの仕事。その為の政治も… @hidebo1225
— Masa (@takeoutdouble) May 22, 2010
使えないPMOは消えてなくなれば良いのにー\(^o^)/
— けお (@keo_tokyo) May 23, 2018
予防型PMOと言ってる俺ですが、ぐぐると「PMO 意味ない」とか「PMO つかえない」とかでてくる・・・プロジェクトの有りたい姿を想定できる人やチームや仕組みじゃないと意味ないし、つかえないですよ。これはPMOだけじゃない、ほかもそうだ。
— 門屋浩文@redmineエバンジェリストの会主宰 (@MadoWindahead) July 12, 2019
提案内容や有りたい姿に本気で向き合うだけ
この記事を読むことで、
・なぜPMOが意味ないとよく言われるのか?の原因
・意味ない・使えないを回避する為に出来る事
・意味ない・使えないPMOをどう改善できるのか
が理解する事が出来ます。
プロジェクトマネージメントのプロのMPC社代表、巻幡社長にお話しを伺いました。
マネジメント・プロセス・コンサルティング)株式会社
代表取締役社長 巻幡 雄毅
プロジェクトマネージメントに特化したサービスを提供するMPCを経営
食品製造・流通・電気・計測機器と言った様々な領域プロジェクト支援された実績
SAP社とコラボし業務システムドクター巻幡として、企業の業務システムの診断中
「PMO意味ない・使えない」に関連し、巻幡代表にお話しを伺った内容
- なぜ「PMOは使えない・意味ない」と言われるケースが発生するのでしょうか?
- プロジェクトにPMOは必要でしょうか?
- いいPMO/悪いPMOとかあるのでしょうか?
- どうやって本当に使えないPMOを見分けれますか?
- どうすればいいPMOに近づけますか?
- PMOの配置で気を付ける事を教えて下さい
(以下内容は、初心者の方にも分かり易いように一部表現等を変えさせていただいております)
なぜ「PMOは使えない・意味ない」と言われるケースが発生するのでしょうか?
PMO使えない・意味ないと言われる理由はシンプルです。その理由は、誰が何をPMOに期待しているかによって違うからです。
抽象的な話になってしまいますが、そもそも使えない・使えるは、期待とのギャップです。
例えば、PMOへの現場の方の期待が「作業をしてくれる人」の場合、それを満たせなければ使えないという定義になります。
基本PMOは、プロジェクトを円滑にしてくれる人なので、円滑であれば意識もされない存在です。一方、何らかの理由で上手くいっていない場合は、PMOが無能だ、使えない、意味ないと言われる傾向になるからではないでしょうか
このコメントの背景には、前回巻幡代表に教えていただいたプロジェクトマネージャーとは?プロジェクトマネージャーの役割とは何か?が密接に関連しています。
プロジェクトマネジャーとPMOの活動・役割の違い
プロジェクトマネジャーは「プロジェクト」のために活動する役割です。
PMO協会
一方で、PMOは基本として「プロジェクトマネジメント」のために活動する役割です。つまり、プロジェクトマネジャーは「プロジェクト」の成功のために「プロジェクトマネジメント」をするのですが、この「プロジェクトマネジメント」に対して活動するのがPMOです。
前回のインタビューで、プロジェクトマネージメントの本質は、「不完全な人に着目しプロジェクトを穴の無く推進する計画を立てゴールに導くこと」と教えていただきました。
PMOの役割を絵にすると以下図のようになります。
PMOはプロジェクトマネージメントする為に、Aさん、Bさんから情報を吸い上げ、プロジェクトマネージャーが、プロジェクトマネージメントをする支援をしています。
プロジェクトメンバーから見た景色と、プロジェクトマネージャー・経営者から見た景色は異なりますからね。
あくまでもPMOは全体に対して働きかけているので、メンバーからは不満が出る場合もあります。
PMO使えない・意味ないを絵で表すと以下の①②に整理できます。
プロジェクトマネージャーがPMOの動き良くなく使えないなーと言っているケース→①
と
現場の人たちが、PMO使えないなーと言っているケース→②
です。
ネット言われているPMO使えないの殆どは、②です。これは、巻幡代表の「例えば、PMOへの現場の方の期待が「作業をしてくれる人」の場合、それを満たせなければ使えないという定義になります。」のコメントの部分になります。
PMOは空気の様な存在なので分からない場合が多いのではないでしょうか。空気がいい、悪いとか普段はあまり意識しないのと同じです。
上手くいったら注目されない。いかなければ、使えないと言われる、、、ちょっとかわいそうな立場です。
でも、PMOは面白みが本当にある仕事です!
PMO・プロジェクトマネージメントの魅力・醍醐味に関しては別の機会に是非インタビューさせていただきます。
プロジェクトにPMOは必要でしょうか?
といった、ちょっと難しい質問もさせていただきました。
Yes & Noで、プロジェクトにPMOは必ず必要か?はNOです。
プロジェクトにPMOの機能は必要か?はYESです。
人間みんなが求められる100%のパフォーマンスを発揮できるわけではないので支援が必要な場合もあります。
PMO協会のPMOの役割・配置の変化に関して以下の絵で解説してくれています。
既述のプロジェクトの規模がさらに大きくなり、もしくは中小規模のプロジェクトが複数発生し、プロジェクトマネジャーの間接業務は膨大に増え、またはガバナンスも効かなくなり、プロジェクトマネジャーの重要な役割のひとつである、プロジェクトの成功のための意思決定に割り当てられる時間が少なくなってしまいます。
この状況がプロジェクトマネジメントの品質を落とし、さらにはプロジェクトの成功に影響を及ぼすこともあります。
そこで、プロジェクトマネジャーが対応しきれない部分をPMOがプロジェクトマネジメント支援として活動していく事になるのです。
PMO協会
いいPMO/悪いPMOとかあるのでしょうか?
ここまでのお話で大分、一括りに言われがちな「PMO使えない。意味ない」に関しても誰の目線で、なぜ言われるか分かってきました。
とはいえ、PMOとして更に上手くプロジェクトマネージメント支援を出来るように良いPMO/悪いPMOとは?どうやって目指せばいいのか?の質問に移っていきます。
淡々と手続き処理をするのは悪いPMOですね。
但し、これは見かけ上は分からないケースがほとんどです。例えば、悪いPMOも良いPMOも会議の議事という瞬間を切り取ると、どちらも淡々と議事進行しているだけに見えます。
但し、長いスパン、例えば2週連続で見た場合、違いがあります。良いPMOは、2週連続で解決していない解決すべき課題があるときにそれを見つけて働きかけます。
いいPMOは本来あるべき姿との乖離をいち早くキャッチし動きます。この課題の認知・アクションができるのが良いPMOになります。
非常に本質で重要なポイントなので図解してみました。
悪いPMOは、「目に見えてあるものを情報としてとらえ」
良いPMOは、「目に見えている情報から、見えないリスクを検知」(本来あるべき状態との乖離から)できることです。
良いPMOは既に経験・フレームワークをもっており、この段階ではこうあるべきというあるべき姿があるからこそ、その違いに気づくことができます。
関連して以下の2つを質問させていただきました。
どうやって本当に使えないPMOを見分けれますか?
どうすればいいPMOに近づけますか?
どうやって本当に使えないPMOを見分けれますか?
シンプルな問いで見分ける事ができます。
それは、「現時点での一番のボトルネックはなんですか?」をPMOに問いかけてみる事です。
今のボトルネックは?と聞かれた時に課題管理表の一覧の話ではなく、何がクリティカルパスにのってるか?を即答できるのは重要です。
表面に見えている課題しか管理しかしていない場合、おそらく回答は課題管理表の抜粋程度です。その場合、表層から見える課題の潰し込みだけで、先手をうつアクションをとる事はできません。
前回の「プロジェクトマネージメントとは?手法よりも大切な本質|プロ直伝」の記事で教えていただいたプロジェクトマネージメントは、穴をふさぐ計画を立てることと深く関連しているコメントです。
PMOは進捗・課題は、過去を確認しているようで、見えている事実から予想される未来に対してアクションをしている認識が強まりました。
どうすればいいPMOになれますか?経験をつむ以外のアドバイスをお願いします。
最終的に経験だねと思っていったので、先に釘さしてハードルを上げてきましたね。笑。
経験以外のもう一つの重要な事をお話しますね。
それは、「人間への関心を持つこと」が非常に重要です。
この人ってなぜできてないんだろう?どう支援したらできるんだろう?こういったのは、幅広く人間への関心・興味です。
人に興味がない場合は、PMOに集まる情報は無機物です。しかし、人間に関心を持つことで、その情報は背後にある人間模様を表します。
人ってどうやったら動くんだろう、あの人はなぜ暗いんだろう、そういう事を心掛けているとPMOとして成長できます。
前回記事で、プロジェクトマネージメントとは、人間の不確実性の管理であると教わりました。それを踏まえると、いいPMOに必要な事が、「人間への関心・興味」のアドバイスも納得できます。(目から鱗)
よく考えてみると、人間に興味のある人は例えば同じ会議に出席していたとしても、資料から得られる情報だけではなく、表情、トーン、顔色様々な情報もプラスされ収集する事が出来ます。
PMOの配置で気を付ける事を教えて下さい
既に、進行中のプロジェクトでPMO使えないと感じている方にアドバイスもお願いします。
PMOの配置で気を付ける点は、情報の集まる場所に配置する事です。
PMOとして活動する為に、どう情報取得をするか?情報の交差点にPMOはいなければなりません。情報の交差点が無い場合は設計が必要になります。
問題があるかないか、何をどう調整すればいいか分かるように、とにかく情報の量と質は重要です。情報のハブになるように意識しましょう。
PMOの配置というより、情報フローの設計が重要と理解できました!
あわせて、生まれていない情報を見えるように設計する、流れていない情報は集まるようにする等考慮が必要です。
情報がPMOに集まってきていない場合どうしたらいいでしょうか?
すぐにでも何か改善を具体的にできないか質問をしてみました。
1例でお話しします。会議体の設計を見直す事が出来ます。
会議体は基本、階層構造です。末端の会議では、情報のボリュームが多く、鮮度も高いです。
一方上の会議体では、抽象的にはなりますが、重要な情報が集まり易くなります。
そういった、集まる情報の量と質を意識し会議体設計がおすすめです。
PMOのプロに聞いた「PMO意味ない・使えない理由と対策」まとめ
ここまでの内容をまとめました。
- なぜ「PMOは使えない・意味ない」と言われるケースが発生するのでしょうか?
→理由は、誰が何をPMOに期待しているかによって違うから
→そもそも使えない・使えるは、期待とのギャップ
- プロジェクトにPMOは必要でしょうか?
→プロジェクトにPMOは必ず必要か?はNO
→プロジェクトにPMOの機能は必要か?はYES
- いいPMO/悪いPMOとかあるのでしょうか?
→手続き処理をするのみのPMOは、悪いPMO
→いいPMOは本来あるべき姿との乖離をいち早くキャッチし動く - どうやって本当に使えないPMOを見分けれますか?
→「現時点での一番のボトルネックはなんですか?」をPMOに問いかけてみる - どうすればいいPMOに近づけますか?
→「人間への関心を持つこと」が非常に重要
→人ってどうやったら動くんだろう、あの人はなぜ暗いんだろう、そういう事を心掛けているとPMOとして成長できる - PMOの配置で気を付ける事を教えて下さい
→どう情報取得をするか?情報の交差点にPMOを配置。もしくは交差点を設計する - 情報がPMOに集まってきていない場合どうしたらいいでしょうか?
→1例は、会議体の設計を見直し
大変勉強になるお時間をいただきました!
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