バイオミミクリーって何?
バイオミミクリーってどうUXデザインに活かせるの?
と言った疑問に答えます。
システム開発において、機能設計も大事ですが、デザインも重要です。しかし、デザインちょっと苦手、というよりはないがしろにしている社内システムって多いのではなないでしょうか?
本記事では、そんなデザインを検討するアプローチで、ちょっと変わったバイオミミクリーという手法を紹介します。この記事を読むことで、デザインに関する新しいアイディアがひらめくかもしれません。
なぜデザインは重要か?
そもそもデザインとは何か?
株式会社オハコ 創業者の菊地 涼太氏のサイトよると、
✔デザインとは
・アートとデザインを勘違いしてはいけない
・アート=自己表現、デザインは誰かの課題解決
・ヒトのために思考し、最適な形として表現することがデザイン
と定義しています。
つまり、デザインによりユーザーの課題を解決し、満足のいく体験を提供する事が出来ます。言い換えると、デザインによりUX(User Experiense)=顧客体験を向上することが出来ます。
具体例:最高のUXデザインはバナナ
btrax,Inc CEOのBrandon K. Hill氏の記事によると、 バナナは最強のUXであると言っています。バナナが最強って腑に落ちないかもしれませんが、以下の機能+デザイン性で納得します。
✔バナナの優れたデザイン性
・手掴みで食べるのに、洗っていない手でつかんでも良い
・皮も手で剥けるので、ナイフなどの道具がいらない
・剥く際にも、剥く方向に合わせてラインが入っていて剥きやすい
・食べる際にも手が汚れないし、常温保存も可能
・いつ頃が食べ頃なのかもその色の変化でわかりやすくなっている
ここには記載されていないですが、食べるおさるさんをターゲットにした場合、彼らが握り易い形になっておる点も洗練されたUXデザインと言えます。
なぜUXデザインによる顧客体験の向上が重要か?
端的にいうと、人々は機能の良さよりも、その一連の商品の知る⇒購入⇒利用、全ての体験での価値・経験を求めているからです。
以前、「PLAZMA 2020 KANDAで新発見!DX・UXの本質が見えたイベント」の記事でご紹介した記事の一部を引用して紹介します。
以下図参照。
上段の「心の豊かさ」を求める線と、下段の「物の豊かさ」を求める線は、昭和53年を境に、それ以前と指標と上下の関係が入れ替わっています。つまり、昭和53年の時点から、人は物の良さを求めていないません。それに引き換え、世の物づくりメーカーは、いいものを作るに今でも没頭しています。
内閣府が発表した国民生活に関する世論調査をもとにしているので信ぴょう性も高いと考えます。
実際、Iphoneが当初発売された時、日本には機能面でIphoneを上回るスマホは沢山存在しました。現在でも同様です。でも、なぜIphoneを消費者は求めるのか?UXの重要性を象徴しています。
UXの重要性は理解したが、デザインは苦手という方に、今回の本題のバイオミミクリーを紹介します。
バイオミミクリーとは?意味を解説
自然界の生物が有する構造や機能を模倣し、新しい技術を開発することを意味する語。「バイオミメティクス」とも言い、日本語では「生体模倣」や「生物模倣」と訳されることが多い。
WEBLIO
簡単に言うと、自然界の優れたデザインを真似する事です。実は、私たちの身の回りの実に沢山の製品・建築物等で使われています。
いくつか事例を紹介します。
バイオミミクリーの例: カワセミと500系新幹線
日本の事例で有名なビオミミクリーがカワセミを参考にして設計された500系新幹線です。
当時の新幹線は高速化すると、トンネルから出る際にものすごい音がしました。その新幹線が生み出す騒音解決にカワセミのデザインが採用されました。
野鳥観察をしている筆者はこの時、閃くものがあった。
「開けた空間から狭いトンネルに突入する時、当然前後方向にブレーキがかかるような抵抗力が働く。列車が縮むとは大変な抵抗の変化があるからだ。自然界に抵抗の大きな変化を日常的に体験している生き物がいないか」と想いを巡らせた。
そして頭に浮かんで来たのがカワセミである。水辺の宝石とも言われるコバルトブルーの羽を持つあのカワセミである。
日本野鳥の会 会員 仲津 英治
英語の動画ですが実際のバイオミミクリーでカワセミからアイディアをもらい500系新幹線検討していく様子をご覧いただけます。
その他、バイオミミクリーの例:ヤモリ・サメ・クジラ等
✔以下動画で紹介されているバイオミミクリーの例10選
・ごぼうの身 → マジックテープ
・ヤモリの手 → ゲッコーシール
・クジラの尾びれ → 風力発電タービン
・サメの肌 → 船のコーティング
・カワセミ → 新幹線
・カエデの種 → ドローン
・チーター → 足長ロボット
・ミツバチ → ハイブデマンド送電網
・クマムシ → 糖衣ワクチン
・蟻塚 → ビル
その他にも、鳥の羽から飛行機の翼、サメのフォルムから飛行機の船体等沢山私たちの身の回りにバイオミミクリーは存在します。
Biomimicry – albatross & shark…
— olúwo jọ̀gbọ̀dọ́ Òrúnmìlà (@animolenikun) March 7, 2020
“Learning from nature: Airbus engineers are considering how an albatross benefits from having an aspect ratio of about 18:1 compared to 9.5 for an A320.
Recent studies have shown that a special sharkskin-style coating can pic.twitter.com/lCmSezZoxn
バイオミミクリーとは?デザインが苦手なシステムエンジニア必見まとめ
ユーザーは既に、商品自体の機能や性能だけでは満足していません。ユーザーが求めているのは商品購入から利用に至るまでの一連の体験を求めています。システムエンジニアとしてシステム開発する際には、機能面の検討だけではなくUI/UXにおけるデザインにも配慮が必要です。
今回ご紹介したバイオミミクリーはそのデザイン設計・機能設計をする際に役に立つ考え方の一つです。実際に私たちの身の回りの多くで既に取り入れ活躍しています。。
もっと、バイオミミクリーに興味がわいたかは以下の書籍等で勉強を深めてみてはいかがでしょうか。
生物学者のジャニーン・ベニュス氏はTEDで、自然界で発生する工学と、バイオミミックが私たちの製造方法にどのような影響を与えるかについて語っています。時間のある方は覗いてみて下さい。