- インダストリー 4.0ってなに?
- ITとして何を理解し準備すればいいの?
と言った疑問に答えます。
この記事で、社内SEやシステムエンジニアが押さえておくインダストリー4.0の基本的意味を解説します。
さらに、表層の部分だけの理解だけではなく、後半でインダストリー4.0の本質とそれをふまえIT/社内SEとしてどう行動が必要か?ご紹介します。
✔記事の信ぴょう性
米にてシステムエンジニア→現、某一部上場企業の情報システム部門、管理職として活躍中。インダストリー4.0・デジタルトランスファーを推進する業務を担当しグローバルでのIT戦略の計画・実行を担当。
そもそもインダストリー4.0(第4次産業革命)とは何か?
インダストリー4.0の起源
「インダストリー4.0」という用語は、I4.0や単にI4と短縮されることもあり、製造業のコンピュータ化を促進するドイツ連邦政府のハイテク戦略の中のプロジェクトに由来する。
ドイツ工学アカデミー(英語版)と連邦教育科学省が2011年に発表した「インダストリー4.0」の用語は、同年のハノーファー・メッセで表舞台に取り上げられた。2012年10月、インダストリー4.0の作業部会はドイツ連邦政府にインダストリー4.0実現の勧告を提出した。
Wikipedia
つまり、「インダストリー4.0」の発祥地はドイツです。ドイツから生まれ世界に広まっていきました。後程、各国に広まったインダストリー4.0の取り組みも紹介します。
インダストリー4.0の言葉の定義からご紹介します。
インダストリー4.0の定義とは?
インダストリー4.0とは第4次産業革命(industrial4.0)とイコールです。
教科書で習った第1次産業革命~第3次産業革命等と同じ意味合いで使われます。
WIKIPEDIAを参照し正しいインダストリー4.0の言葉の定義を見てみましょう。
第四次産業革命 (Fourth Industrial Revolution、4IR) は、18世紀の最初の産業革命以降の4番目の主要な産業時代を指します。第四次産業革命はロボット工学、人工知能 (AI) 、ブロックチェーン、ナノテクノロジー、量子コンピュータ、生物工学、モノのインターネット (IoT) 、3Dプリンター、自動運転車などの多岐に渡る分野においての新興の技術革新が特徴である。引用元:WIKI
と、定義されています。
日本のインダストリー4.0 の認知度は8割。内容を知っている人は約3割
転職サイトENジャパンが35歳以上のユーザーに対して行った「インダストリー4.0(第四次産業革命)を知っていますか?」の問いに対しての結果です。
第四次産業革命を 「知っている」と回答は、 83%
内容も含めて知っている割合は、25%
概要を知っている=58%
実際は中身まで知っている方は全体の3割程度という実態です。
インダストリー4.0 の認知度83%と対照的に進まない日本の取組み
実際の取り組みは世界比較でかなり低水準です。以下グラフをご覧ください。
✔日本は圧倒的に低い第4次産業革命の取り組み状況
ドイツ 92%
イギリス 89%
米国 90%
日本 59%
つまり、海外ではかなり積極的にインダストリー4.0に取り組んでいます。しかし、国内で事例を集めてもあまり有益な情報を収集できません。
尚の事、社内SEとして海外の動向に目を向け情報を自社に取り組む機能が重要になります。
第1次産業革命から第4次産業革命|インダトリー4.0の流れ
1764年に始まった第1次産業革命から第四次産業革命(インダストリー4.0)の流れをご説明します。
第一次産業革命
18世紀:水車や馬力などの自然力を利用した製造の現場に革命がおこります。製造現場の機械化の始まりです。紡績機の導入等機械化進みました。
第二次産業革命
20世紀前半:電力により製造現場の機械化が加速します。大量生産が画一されました。代表的な製品がT型フォードです。
第三次産業革命
1950年代からIT化か進み、商用コンピューターの導入を始まりました。1970年には製造業の現場にもコンピューターが導入され工作機械の進化や産業用ロボットの普及で自動化が加速します。
第四次産業革命=インダストリー4.0
インターネットの発達とIoTにより情報が急増しています。様々な業種で情報の活用が始まり、製造業にとどまっていた情報技術が非製造業にも派生し人類の産業全体にインパクトを与えます。
コンピューターによるシステム化の進展、そしてIOTによる物理空間のデジタル化により産業は新たなフェーズに突入 しました。
もっと詳しく、産業革命とは?を動画で体感
以下の動画は3分15秒と短いですが、ダイジェストで一気に流れを理解する事が出来ます。英語でyoutubeですが、キャプションがあるので英語が苦手な方も楽しめます。
インダストリー4.0:IT&社内SEが押さえておくメリットと必要な行動とは?
抑えておくべきポイントは以下の2つです。
- 日本の低いITではなく、海外の目線・ITに対応可能
- ITはエコシステムを活用する時代に!システムは【作る】から【使う】にシフト
1つづつ順に解説していきます。
日本の低いITではなく、海外の目線・ITに対応可能
現代ビジネスは、オンラインが様々な領域で活用されボーダレスにビジネスが展開されます。
これは、2つの重要な意味があります。
・日本の企業がグローバルで無意識にもビジネスを展開している事
・海外企業もロケーションに関係なく日本へのビジネス展開が可能になる事
を物語っています。
そんなビジネスの概況において、
日本のITやスタンダードに目線を合わせていては、ITを起点に発生するゲームチェンジに足元をすくわれてしまいます。
日本のIT・ECの遅れ・課題は依然以下の2つの記事詳細をご紹介しています。合わせて参照ください。
・【1-2 世界に完全に出遅れる日本のEC化率ヤバイ【必読】】
・【1-3日本のネット常識は先進国で最下位な事実|ITリテラシー問題】
ITはエコシステムを活用する時代に!システムは【作る】から【使う】にシフト
以前のIT・社内SEの業務と言えば、システム開発がメインだったのではないでしょうか。
しかし、現代ではITのエコシステム化が進んでいます。
クラウドサービスの様な、公共で利用できるシステムを活用し、経済全体で見た時にエコな仕組みの活用へとシフトしています。
時代は、【作る】から【使う】時代へと変化しています。
IT・社内SEにとっての提供価値自体が、何を・どう使うか?にシフトしている中で、技術的に新しい仕組みとして優れたシステムを社内に活用できる人材の市場価値は必然的にあがります。
あなたの市場価値を上げるだけではなく、IT化の遅れている日本の概況が、新しい技術を知っていて、使えるだけで競合優位性を生み出す可能性の源泉にもつながります。
社内SEとしてインダストリー4.0とどのように向き合い取り組むべきか?
✔社内SE/システムエンジニアが取るべき2つの行動
・インダストリー4.0の本質を理解しよう
・社内への インダストリー4.0 の啓蒙活動を始めよう
①まずは、社内SEがインダストリー4.0の本質を理解しよう
ここまでの説明でインダストリー4.0の表層てきな部分をご紹介しました。
インダストリー4.0の抽象度をあげ本質に迫ります。いか素晴らしいツイートをもとに解説します。
素晴らし着眼点は、「時間」です。
第4次産業革命って何?これから日本は何が変わっていくの? https://t.co/6sZ5qavhn8… pic.twitter.com/SjjzhqnUhr
— yamasyo (@yamawat1) November 1, 2019
つまり、産業革命とは様々な「時間短縮のプロセス」です。
インダストリー4.0の短縮する時間は、「意思決定スピード 」 が格段に向上する革命です。
その情報を活用し自社ビジネス・お客様の意思決定の時間の短縮が可能になります。これが本質です。
第四次産業革命の本質
物理空間の情報がデジタライズされ人間の意思決定スピードを向上される
② 社内への インダストリー4.0 の啓蒙活動を始めよう
本質を理解した後は、インダストリー4.0 の正しい啓蒙活動です。決して、DXをしよう!なんて言ってはいけません。どこまで行っても行いたいのはビジネスへの貢献です。
先ほどご紹介した本質、「 物理空間の情報がデジタライズされ人間の意思決定スピードを向上される 」を理解していると何を取り組むべきか?を明確です。
最新技術の何を取り入れよう?ではなく、まずは、
- どんな意思決定スピードの課題があるか?
- そのためにどんな情報が必要か?
- どう最新技術で構築可能か?
の流れになります。
抑えておきたい、世界のインダストリー4.0 の取り組みとは?
世界各国独自でインダストリー4.0 を加速させています。主要国の取り組み概要を解説します。
- 日本: Innovation 25 program
新成長戦略の重点項目とし設定。IOT/AIで2020年に30兆円の市場創出を狙う - ドイツ: インダストリアル4.0/Industrial 4.0
製造業のオートメーション化を官民一体で推進。 - 米国: インダストリアル インターネット /Industrial Internet
GE /IBM /インテルが中心にインターネットを活用したサービス提供の活性を推進 - 中国: 中国製造2025 /Made in China 2025
ITを活用し製造業の水準底上げを狙う。デジタル制御ロボット等の導入を推進 - インド:メイド・イン・インディア/Made in India
海外工場の誘致、及びICT技術の積極的な導入
インダストリー4.0 取り組み例:ドイツの スマートファクトリー
ドイツ政府主導で国内の産官学連携体制を整え進めています。コンセプトの中心にあるのは「スマートファクトリー」(考える工場)です。人の作業をITを使い自動化し機械同士がコミニケーションをを行い工程間・工場間連携を狙います。Audiの取り組みを紹介します。
Audiのスマートファクトリー取り組み事例
英語の動画ですが、アニメーションで非常に分かり易いです。
実際の現場での試行の様子です。
インダストリー4.0 取り組み例: アメリカ GEのプラットフォーム戦略
GEのコンセプトは、インターネットが製品の各モジュールと連動し高度なセンシング技術により障害等を事前に検知しコスト削減を図る取り組みです。
インダストリー4.0 取り組み例: 中国製造2025の取り組み
国有大手企業INESAグループもスマートシティソリューションの提供に取り組んでいます。液晶ディスプレイのカラーフィルターの製造で富士通とともにIoTやビッグデータの活用を推し進めています。
インダストリー 4.0の意味やメリット・本質とは?【社内SE基礎】まとめ
インダストリー 4.0とは、高度に情報化された社会で製造業だけではとどまらない様々な分野でITと物理空間が連動し我々の更なる時間の短縮にチャレンジする取り組みです。
社内SE・ITにとっては、日本のITに目を向けるだけではなく海外で起こっている変化に目線をシフトする必要があります。
特に、IT・社内SEに求められる素養がシステムを【作る】から【使う】にシフトしている時代においては、最新のIT技術・海外を含めた競合の動向は非常に重要になります。